神田明神様の文化事業の一つ現代の寺子屋「明神塾」。ウィズコロナ時代に、現代人が新たな生活様式に踏み出すためのヒントを江戸の社会に探るシリーズ「未知の時代を歴史に学ぶ」第4回を開催しました!
先生方、参加者の皆様とともに正式参拝をし、会場の文化交流館地下一階に移動しスタート。
第一部は、美術史家の山本野理子様から「江戸っ子が愛した魑魅魍魎―お化け浮世絵の世界―」をテーマに。
多数の浮世絵をご紹介いたがきながら、お岩さん、累、小幡小平次、お菊さん、浅倉当吾などの「幽霊」、
化け猫、九尾の狐、葛葉、諏訪神社の白狐、古狸などの「妖怪」、
源頼光、俵藤太、源三位頼政、平良門、児雷也などの正義のヒーローと悪の戦いについてお話いただきました。
お化け浮世絵の成立過程、江戸の人々はどのように楽しんでいたかを理解することができました。
第二部は安藤塾長から「種痘の普及と西洋医学の台頭」をテーマに。
江戸時代に流行した感染症「疱瘡」の脅威に対し、種痘(ワクチン)の普及・成功から幕府直轄の種痘所が設置されるようになった経緯について、漢方医と蘭方医(東洋医学と西洋医学)の対立といった背景も交えお話いただきました。
当初は、疱瘡に感染した人の瘡蓋を鼻から吸引させ痘苗を人体に接種する「人痘種痘法」で免疫を獲得させ疱瘡への感染予防を目指したけれど、不完全であったこと。
その後、イギリスで牛痘ウィルスによる免疫法が発見され、天然痘ワクチンの開発に成功し、鎖国下の貿易の窓口であった長崎を起点に、日本への導入が進められ、オランダから取り寄せた牛痘皮で接種に成功したこと。ただ、現在のような注射がない時代のため、傷口から人に接種する方法で、はじめは藩主や藩医の子供たちが試験的に接種したこと。
鎖国下で、海外の情報が限られる中、日本に普及する前の種痘接種は江戸時代の人々にとって得体の知れないものとしてどんなにこわがられただろうかとイメージし、まさにコロナ禍で広く世界的にワクチン接種が進む現在と対比しながらお話をうかがいました。
初期は各藩の医師たちがボランティアのような形で種痘所を設置しており、江戸では神田のお玉が池の屋敷内に種痘所が設置されていましたが、種痘の成功により、種痘所が幕府直轄の施設となり、また幕府が西洋医学をバックアップするようになった経緯について知り、感染症の脅威を乗り越えてきた先人たちの歩み、歴史から、コロナ禍の今をみつめ乗り越える上でのヒントをいただきました。
お集まりくださった皆様、山本様、安藤塾長、神田明神関係者の皆様、ありがとうございました!
次回の明神塾は10月9日(土)に開催予定です。
第1部は、軽井沢病院医師・医学博士の稲葉俊郎先生をゲストとしてお迎えし「キュアとケア 現代医療と伝統医療における多様性と調和」をテーマに。第2部は、滝口塾長より「幕末のコレラ騒動」 をテーマにお話いただく予定です。
単回でのご参加・直前のお申込も受け付けております。また、オンライン受講も可能ですので、よろしければお申し込みください。
神社を江戸をもっと身近に感じてみませんか?
皆様のご参加、お待ちしております!
▼詳細はこちら
https://edocco-studio.com/myoujinjyuku2021/
■明神塾「未知の時代を歴史に学ぶ」
第5回 10月9日(土)
第1部「キュアとケア 現代医療と伝統医療における多様性と調和」 稲葉俊郎氏(軽井沢病院医師・医学博士)
第2部「幕末のコレラ騒動」 滝口正哉先生
第6回 11月13日(土)
第1部「江戸勤番侍の食生活」安藤優一郎先生
第2部「麻疹流行とはしか絵」滝口正哉先生
■開催時間
10:00 受付 / 10:15〜 昇殿参拝
10:25 ~ 11:25 第1部 / 休憩 / 11:30 ~ 12:30 第2部
会場:神田明神 文化交流館B1
受講料:3,500円
また、10月9日より、山本野理子先生が浮世絵解説を務めた特別展「江戸の今昔展~浮世絵と写真の共演美~」が、神田明神資料館にて開催予定です。江戸時代の浮世絵と、そこに描かれた同じ現在の場所がうつしだされた現代の写真を同時に展示し比較することで、400年もの時を超え、私たちに何が受け継がれてきたのか、そしてどんな未来を創造していくのかを見つめる内容です。こちらもあわせておはこびください!