神田明神様の文化事業の一つ現代の寺子屋「明神塾」。ウィズコロナ時代に、現代人が新たな生活様式に踏み出すためのヒントを江戸の社会に探るシリーズ「未知の時代を歴史に学ぶ」第5回を開催しました!
先生方、参加者の皆様とともに正式参拝をし、会場の文化交流館地下一階に移動しスタート。
第一部は、軽井沢病院医師・医学博士の稲葉俊郎先生から「キュアとケア 現代医療と伝統医療における多様性と調和」 をテーマに。
現存する我が国最古(平安時代)の医学書『医心方』や、江戸時代のベストセラー本である貝原益軒『養生訓』の内容をご紹介いただきながら、伝統医療が対象とする「健康」、現代医療が対象とする「病」について考えさせられる内容でした。
人間を支える曖昧の知恵やほどほどの精神、個人が自分の物差しをつくることに養生は着地するのだというお話、日本は身心の問題を、「道」「芸」の世界へ昇華し伝えているといったお話、古代は医療も芸術も宗教も統合されていたといったお話も印象的でした。
過去の医療の歴史を踏まえつつ、未来の医療においてキュア(医療者が「治す」)とケア(当事者が「治る」状況を作る)がどのような関係性を持つ必要があるのか、新しい場と新しい個の創造など…多くの学びをいただきました。
第二部は、滝口塾長から「幕末のコレラ騒動」をテーマに、多数の史料やコレラ絵を交えお話いただきました。
幕末に大流行した感染症「コレラ」は発症するとすぐに死に至る病として恐れられました。さらにコレラの流行と同時期に異国船の来航や、悪しきことの前兆とされた「彗星」が観測されるなど、幕末の混乱期に様々な不穏な出来事が重なり、社会不安が高まっていく様子を史料から読み解くことができました。
そうしたコレラの脅威に際し、人々は、祈りやまじないの力、コレラ絵やお札などに救いを求めたり、お正月(門前に門松をたてる)・節分(豆まき)・祭(神輿渡御)などをとりおこない非日常の演出・悪い流れをたつための節目をつくることによって、コレラの流行といった悪い流れをたち、強制的にリセットしようとする動きがおこったことなど…コレラに悩まされた幕末とコロナ禍の今とを対比させながらコロナ禍を乗り越える上でのヒントをいただきました。
お集まりくださった皆様、稲葉先生、滝口塾長、神田明神関係者の皆様、ありがとうございました!
年内最後となる次回の明神塾は11月13日(土)に開催予定です。
第1部は、安藤塾長より「江戸勤番侍の食生活」をテーマに
第2部は、滝口塾長より「麻疹流行とはしか絵」 をテーマにお話いただく予定です。
単回でのご参加・直前のお申込も受け付けております。
神社を江戸をもっと身近に感じてみませんか?
皆様のご参加、お待ちしております!
■明神塾「未知の時代を歴史に学ぶ」
第6回 11月13日(土)
第1部「江戸勤番侍の食生活」安藤優一郎先生
第2部「麻疹流行とはしか絵」滝口正哉先生
■開催時間
10:00 受付 / 10:15〜 昇殿参拝
10:25 ~ 11:25 第1部 / 休憩 / 11:30 ~ 12:30 第2部
会場:神田明神 文化交流館B1
受講料:3,500円
▼お申し込み・詳細はこちら
https://edocco-studio.com/myoujinjyuku2021/
明神塾終了後に、文化交流館ホールで開催中の企画「よく知って、正しく使おうOTC医薬品」を、清水宮司にご案内いただきました。
神田明神様の御祭神「だいこくさま」として親しまれる「大己貴尊」は医療の神様でもあり、「えびすさま」として親しまれる「少彦名命」はお薬の神様でもあります!
11月3日(文化の日)まで、特別展「江戸の今昔展~浮世絵と写真の共演美~」が、神田明神資料館にて開催中です!
江戸時代の浮世絵と、そこに描かれた同じ現在の場所がうつしだされた現代の写真を同時に展示し比較することで、400年もの時を超え、私たちに何が受け継がれてきたのか、そしてどんな未来を創造していくのかを見つめる内容です。