「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪・関西万博では、世界各国の多様な伝統・文化、建築に触れることができ、アート・最先端テクノロジー、未来・いのちを感じる様々な体験ができます。
そうした中で、日本の文化を体感できる建築、イベント、体験、展示なども多数あります!その一部をご紹介します。
(1)大屋根リング
会場のシンボルとなる「大屋根リング」は、藤本壮介氏による世界最大級の木造建築物で、会場コンセプト「多様でありながら、ひとつ」を象徴するもの。日本における木の文化、日本の伝統的な木造建築の魅力に触れることができます。
1周約2km、高さ約20mの大屋根リングは、下から見上げる造形美、上から眺める景色ともに圧巻!その輪(円)の中に、世界各国のパビリオンが立ち並ぶ景色を眺めて、「ここは地球の、世界の縮図のようだな」と、感激しました。
様々な問題があるけれど、大屋根リングの輪の中は、沢山の笑顔・音楽・食、豊かな文化・前向きなエネルギー・活気に満ちていて、世界はひとつなのだとあたたかな気持ちになります。
大屋根リングの上には、植物が植えられており、まるで川の土手を散歩しているような感覚になります。
ぜひ多くの方に実際に見て、体感していただきたいです。
(2)飯田グループ×大阪公立大学共同出展館
西陣織の老舗「細尾」さん独自開発の織機と3Dマッピング技術により実現した長径24mの世界最大の西陣織建築!
特殊加工をした西陣織が全面を覆う巨大なドームは圧巻。
伝統と進化の融合、持続、循環、継承の象徴として、メビウスの輪を応用した独特の形状(サステナブル・メビウス)が目をひきます。
この他、紙・竹を用いた建築、日本の伝統的な技・工法が採用された建築、隈研吾氏、坂茂氏、伊東豊雄氏、佐藤ナオキ氏、SANAA、永山祐子氏など国内外で活躍する建築家やデザイナーによる建築など…素晴らしい建築の数々を外から眺めているだけでも充分に楽しむことができます。
(3)夜の地球 輪島塗の大型地球儀
輪島塗の大型地球儀「夜の地球 Earth at Night」が展示されているパビリオン。
直径1mにも及ぶ輪島塗の地球儀は、能登半島地震も乗り越えた復興のシンボル。漆黒の中に描かれた金色の国々の輝きが美しく幻想的で、ずっと眺めていたくなりました。
この他、輪島塗の世界の都市(ニューヨーク・パリなど)の地図や、伝統工芸の展示も!
(4)シグネチャーパビリオン
■いのちの未来(石黒浩さん):
アンドロイドとともに、古代の土偶、埴輪、仏像、能面、文楽人形などの展示も!縄文時代から現代に至るまでの日本のアニミズムの系譜に触れることができます。
■EARTH MART(小山薫堂さん):
茅葺き屋根のパビリオンには、全国各地から集めた茅が使用され、里山のくらしにおける循環のあり方が提示されています。
「いのちをつむぐ」がコンセプトのパビリオンでは、日本の食文化の根幹にある「いただきます」の精神に触れることができます。
■いのちの遊び場 クラゲ館(中島さちこさん):
いのちの遊び場クラゲ館には、日本国内外の要人のおもてなしをする場として建築された茶室「悠楽軒」があります。命名は裏千家の千宗室御家元。残念ながら一般公開はされていませんが、日本文化の総合芸術である茶道の精神を体感できる茶室が、多くの国内外の要人をもてなす場としてこの大阪・関西万博にあることはとても意義深いことだと思います。
(5)海外パビリオン
海外パビリオンでは、私が訪問した中でも例えばポルトガル・スペイン・アメリカ・フランス・オーストリアなど…日本との交流・関係性、日本文化へのリスペクト(影響)などが感じられる展示が多くあるため、そうした点にも注目して訪問してみてください!
フランス館では、開幕から1ヶ月間の期間限定で、セリーヌと漆芸アーティスト集団「彦十蒔絵」とのコラボレーションによる特別展示「CELINE MAKI-E」が開催されていました。この他の海外パビリオンでも、日本文化との融合が感じられる展示・企画が期間限定で開催されるかと思いますので注目してみてください。
(6)日本館
日本の美意識につながる「循環型社会」、持続可能な社会の在り方を考えさせられる展示。時代を超えて日本の文化が育んできた「やわらかいものづくり(循環型ものづくり文化)」を紹介するギャラリーでは、木桶、着物(和裁)、風呂敷、式年遷宮などの紹介も。
大阪・関西万博では半年間におよぶ会期中に様々な日本文化関連のイベント・公演が開催されています。
4月には池坊さんによるいけばな展&パフォーマンス、煎茶道のお茶席体験。
5月には日本の書、盆栽、超歌舞伎「今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.」、能楽パフォーマンス「FUTURE 能〜NOH STAGE 〜」。
そして6月には、「THE FUTURE in TRADITION~伝統の中にある未来~」というテーマのもと、伝統文化未来共創Projectによる日本文化の発信をする多彩なイベントや企画が。
公演「令和今昔四季物語絵巻」や「きもので高砂を謡おう!」なども開催。
今後も、能楽・和太鼓・日本の楽器・空手、祭りをはじめとする様々なイベントが開催予定です。
また、日本工芸産地博覧会をはじめ、日本の工芸、ものづくり、日本の技と美にふれることができる様々な展示も開催されています!
竹工芸の田辺竹雲斎さんによる竹の茶室「竹空庵」@ギャラリーEAST(5月)、黒竹の作品@関西パビリオン和歌山ブース内(6月)など、応援している工芸関係の方々による展示も多数あり、注目しています。
今回ご紹介した以外にも、日本の文化を体感できる体験・展示・イベントが多数あります!万博訪問の際はぜひ、世界各国の多様な文化とともに、開催国である日本の文化も体感してみてください。
大阪・関西万博が、日本文化になじみがない外国人や若い世代、お子様たちにとって日本文化、日本の美・心に触れ、関心をもつきっかけとなれば何よりです。
万博関係者の皆様、素晴らしい機会をありがとうございます!!