江戸の文化の継承と発信を目的に神田明神様主催の文化事業としてスタートし、今年で24年目を迎える現代の寺子屋「明神塾」。
4月開講予定の明神塾の特別編として、お二人の塾長、安藤優一郎先生と滝口正哉先生、さらに江戸文化に造詣の深いゲストとして堀口茉純さんと三宅あみさんをお迎えし、「令和の時代に、改めて江戸を考える」をテーマに開催しました。
先生方、参加者の皆様とともに正式参拝をした後に、会場の文化交流館地下一階に移動しスタート。
前半は、まず安藤塾長から「共助が支えた江戸」をテーマに飢饉を背景に米価が高騰した時、火災・水災・震災時、感染症が流行して経済活動が停滞した時などに、幕府の指示のもと町会所が米や銭を給付し、共助という形での生活支援策を主導してきたこと。泰平の世・江戸を実現した共助のシステムについて解説いただきました。
その後、滝口塾長からは「江戸の寺社の文化発信力」をテーマに、江戸(神仏習合の)時代の多様な寺社の役割について。
寺社奉行書の許可を得て行われる幕府の助成事業としての開帳・富くじ・勧進相撲についてや、祭礼の文化的効果や町人社会の経済・文化の成熟ぶりを表現する場としての祭礼、名所としての寺社巡りの流行など、江戸時代、文化発信拠点として人々にとって身近な存在であった寺社についてお話いただきました。
続いて、歴史タレント お江戸ルの堀口茉純さんから「江戸のお花見」をテーマに。
江戸時代のお花見の名所として上野・飛鳥山・御殿山をあげ、それぞれの土地にみられるお花見の特徴から江戸のお花見文化を浮世絵を交えてご紹介いただきました。
神田明神の境内の桜も開花したものの外は雨でしたが、室内にいながらしてお花見気分を味わえるひと時。
最後にジャパネスクナビゲーターの三宅あみさんから「街角で出会う江戸の粋」をテーマに、実際に日本橋の街歩きをご一緒させていただいているような感覚を味わいながら、日本橋の街、老舗、江戸の粋についてご案内いただきました。
後半のトークセッションでは、「神社からみたお江戸の世界」をテーマに、「神社・神田明神とはどんな存在か」「令和の時代における神社・神田明神の役割や可能性とは?」などについてディスカッションを。
印象的だった言葉は、神社は「人生のはじまり」「人生の節目で訪れ、守っていただいている存在」「生活の一部」。神田明神は「江戸の世界の入り口」「江戸の世界を凝縮した江戸を象徴とする存在」など。
これからの「神社・神田明神の可能性、期待したいこと」としては、「伝統を継承しつつ、多様性を受け入れ様々な文化と融合し新たな文化を創造・発信する場であってほしい」「富くじのような過去に神社で行われていた行事や文化を再興すること」や、「まちづくりの視点から、神社の裏側をもっと知っていただき皆様に当事者意識をもっていただけるような機会を創出すること」など色々なご意見をいただきました。
会場である文化交流館も、「伝統と革新」を掲げ、連綿と受け継がれてきた伝統の継承のみならず、多様な価値観を受け入れ、新しい芸術や文化が革新を続け末永く後世へと継承していく場、新しい文化を創出する交流の場となることを目指しています。
また、神田明神では伝統を継承し様々な神事や祭礼を継承すると同時に、アニメやアイドル、プロレスなど現代の多様な文化を柔軟に受け入れ様々なコラボ企画を展開しています。
神社をはじめとする日本の伝統も、その時代の人々が受け入れやすい新しい形に創造されてきた面をもち、歴史を顧みつつ新たな伝統を創造し続けることで、常に躍動感ある生きた姿として継承されていく。それこそが伝統の本質である。
神社様から学ばせていただいている「常若の精神」「伝統は常に革新を続けている」という言葉を思い起こしながら、令和の時代に神田明神の文化発信拠点である文化交流館で、この明神塾を開催し携わらせていただいていることをありがたく思うとともに、次世代への文化の継承・新たな文化の創造・発信に尽力したいという思いを強くする貴重な機会となりました。
今年度の明神塾は4月17日(土)に開講し、「未知の時代を歴史に学ぶ」をテーマに年内6回開催予定です。
土曜日の午前中の開催、会場はこちら・神田明神 文化交流館地下一階に変更し新たなスタイルでの開催となります。
初回は4月17日(土)第一部は「博物館世界と江戸文化」をテーマに滝口正哉先生に、第二部は「江戸の医療改革と小石川養生所」をテーマに安藤優一郎先生にお話いただく予定です。
ウィズコロナ時代に、現代人が新たな生活様式に踏み出すためのヒントを江戸の社会に探る内容となっています。
通年でのご参加の他、単回でのご参加も受け付けております。
ご都合がつくようでしたらぜひご参加ください
神社を江戸をもっと身近に感じてみませんか?
皆様のご参加、お待ちしております。
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